転生したのに0レベル
〜チートがもらえなかったので、のんびり暮らします〜


71 ルディーン、世界の秘密を……知ったのかなぁ?



 次の日も僕はまだベッドの上だった。
 と言うのも今朝目がさめた時、二日も寝てたのならもう起きても大丈夫だよね? って思って体を起したら頭がふらっとしてベットから転げ落ちちゃったんだ。
 そしたらその音を聞きつけたお母さんとお姉ちゃん2人が飛んできて、

「ルディーン、大丈夫? 無理しないでもう一日ベッドで寝てなさい」

「そうだよルディーン、あんたはまだ小さいんだから」

「私も初めてルディーンみたいになった時は大変だったもん。ルディーンはその時の私より小さいんだから、寝てなきゃダメよ」

 こう言って僕がベッドから降りるのを禁止しちゃったんだよね。
 もう! ちょっとふらついちゃっただけで僕は元気になってるのに!
 いくらお母さんやお姉ちゃんたちにそう言っても、まだふらふらするんでしょ? ならおとなしく寝てなさいって聞いてくれないんだもん。
 ホントにもう大丈夫なのになぁ。

 でもまぁいくら言っても聞いてくれないんだから仕方ない。
 ベッドの中でできる事をするしかないよね。
 と言う訳で僕は自分のスキルを眺める事にしたんだ。

 するとちょっと不思議な事が。
 今回ブラウンボアと戦った事で僕のレベルは大幅にアップしたんだけど、でもそれは賢者だけでサブジョブのレンジャーは何故か1のままだったんだ。
 これって何故なんだろう?

 ドラゴン&マジック・オンラインの頃は経験値はレベル上げしたいジョブをメインにしないと入らなかったんだよね。
 だから一度レンジャーにジョブチェンジしてレベル上げをしてから改めてサブジョブにすると言う答えが正しいって事になるんだけど、そもそもジョブチェンジと言うものができるか解んないこの世界ではこれは当てはまらないと思うんだ。
 だってもしそうしないとレベルを上げられないって言うのなら持っている人全員のサブジョブが1レベルじゃないとおかしいんだけど、ヒルダ姉ちゃんのステータスを覗いて見るとサブジョブの狩人が7レベルなんだよね。
 って事は別々にレベル上げをしなくてもサブジョブのレベルは上げられるって事なんだと思う。

「う〜ん、ゲームの時みたいに今の経験値がどれくらいなのかを見る事ができたら、どうやってレベルを上げたらいいのか解るのになぁ」

 ステータス画面、他はみんな同じなのになんでか経験値の数字だけないんだよなぁ。
 どれくらい経験値が溜まってるのかが解ればどんな行動した時に溜まるのかも解るんだから、その数値をゲームの時みたいに見る事ができてたらなんで今回レンジャーのレベルが上がんなかったのか、解るはずなのに。

 でも無いんだから、いくらあったらいいのにって言ってても仕方ないよね。
 なら他にサブジョブのレベルの上げ方が解る方法はないのかなぁ? なんて思いながらステータスを眺めてたんだけど、そこには僕の強さが書かれてるだけで何のヒントも隠されて無いんだからどんなに眺めてても解るはずがない。
 う〜ん、何の手がかりも無いんじゃあ調べようがないなぁ。

 そう思ってあきらめようって思ったその時、

「ルディーン、ちゃんと寝てる?」

 キャリーナ姉ちゃんがホットミルクを持って僕が寝てる部屋に入ってきたんだ。

「ちゃんと寝てるよ。でも1人だからつまんない」

「ベッドに寝たままだと何にもやる事無いもんね。でもまだ一人で起き上がれないんだから、寝てなきゃダメだよ」

 僕が文句を言うとキャリーナ姉ちゃんはうんうんって頷いてくれたんだけど、それでも寝てなきゃだめだよって言われちゃった。
 むぅ、もう大丈夫なのに。

 この後お姉ちゃんは、僕がベッドの上でもホットミルクが飲めるようにって体を起すのを手伝ってくれた。
 いや、体を起すくらい僕一人でできるんだよ。
 でもキャリーナ姉ちゃんが、

「ふらついたら危ないでしょ? お姉ちゃんの言うことを聞きなさい」

 って言って体を支えようとするもんだから、僕は言いなりになるしかなかったんだ。


 渡されたホットミルクを飲んでると、キャリーナ姉ちゃんはベッドの脇に座って、ニコニコしながら僕の方を見てる。
 今キャリーナ姉ちゃんがしてることって、いつもだったらお母さんやレーア姉ちゃんの役目なのに今日は自分がそれを任されてるもんだから嬉しいんだろうなぁ。
 僕もスティナちゃんにお兄ちゃんぽい事をしてる時は嬉しくなるもん、だからお姉ちゃんの気持ち、よく解るよ。

 とその時、僕は何気なくお姉ちゃんのステータスを見たんだ。
 これは何かを調べようと思ったわけじゃなくって、さっきまでずっと自分のステータスを眺めてたからなんとなく見ちゃっただけなんだけど、その表示を見て僕はびっくりした。
 だってお姉ちゃんのジョブが狩人になってたんだもん。

 僕、キャリーナ姉ちゃんのメインジョブはきっと神官になるって思ってたんだ。
 だって前に見た時は見習い神官のレベルの方が見習い狩人より高かったからね。
 なのにお姉ちゃんのジョブの欄には何故か狩人《1/26》の文字が。

 なんで? お姉ちゃんがもう森に入ってる事を知っている僕は、村の子達のパーティーに入れてもらってるからもらえる経験値が減っているとは言え、もう何匹かの魔物を狩ってるんだからそろそろ神官のジョブについててもおかしくないって思ってたんだ。
 だけど、ずっと低かったはずの見習い狩人のレベルが見習い神官のレベルを逆転してるなんて思いもしなかったから、僕は凄くびっくりしちゃったんだよね。

 そんな僕の様子がおかしいって思ったからなのか、お姉ちゃんが不思議そうな顔をする。

「どうしたのルディーン、そんなびっくりした顔して。なんかあった?」

「なんにもないよ。でも……えっとねぇ、ちょっと聞いていい? お姉ちゃんって狩人の練習、キュアの練習よりいっぱいしてるの?」

「狩人の練習って言うと弓の練習の事? ううん、あんまりしてないよ。お家でのキュアの練習は今もしてるから、そっちの方が多いんじゃないかな?」

 どう言う事?
 キャリーナ姉ちゃんが言ってる事がホントなら、今でもキュアの練習の方が多いんだよね? だったら元々レベルが高かった神官になってないとおかしいはずなのに。

「ルディーンはどうしてそう思ったの? 私、なんか変だった?」

「ううん、お姉ちゃんは別に変じゃないよ。ただ解んない事があっただけ」

「解んない事?」

 練習は神官のほうが多いのにジョブがレンジャーになったって事は、何か別の理由があるって事だよね?
 ん? もしかして動物や魔物を倒した経験値ってそれを得る為の行動によって入る量が違うとかなのかな?

 森での怪我は怖いから、みんな普段からなるべく安全に狩りができるように気を使ってる。
 だからさぁ、狩りの最中に怪我をしてキャリーナ姉ちゃんに治癒魔法をかけてもらうなんて事はないと思うんだ。

「ねぇルディーン、解んない事って何?」

 なら狩りの時のお姉ちゃんは狩人としての技術しか使ってないって事になるよね? そのせいで見習い狩人の方に経験値が集中して入ってたとしたら……、

 ゆさゆさゆさゆさ。

 そこまで考えたところで、僕は誰かに急速に揺さぶられる。
 で、その犯人はと言うと、この部屋には2人しか居ないんだから当然キャリーナ姉ちゃんだ。

「ルディーン、解んない事ってなぁ〜に!? 意地悪しないで教えて!」

「わっわっ! お姉ちゃん、そんなにゆすったら危な、わぁ」

 どすん。

 お姉ちゃんに揺さぶられた僕は、その勢いに負けてお姉ちゃんを巻き込んでベットから転げ落ちちゃったんだ。

「うう、熱いよぉ、ぐすっ」

 そうなると当然手に持ってたホットミルクこぼれちゃうわけで。

「ルディーンが意地悪するから! わた、わたし、悪く、ううっ、うわ〜ん!」

「うわ〜ん!」

 ベッドから転げ落ちたショックと、ちょっとだけ熱かったホットミルクに驚いた僕、そしてそんな僕と一緒に床に転がってホットミルクまみれになったキャリーナ姉ちゃんは二人して大泣き。
 そしてその泣き声を聞いて大慌てで部屋に飛び込んで来たお母さんは、一瞬びっくりした顔をしたんだけどすぐに困ったような顔をしたんだ。

「まぁまぁ、キャリーナも11歳になってしっかりしてきたって思ってたけど、やっぱりまだ子供ね」

 そしてその後、そんな事を言いながらホットミルクまみれになった僕たち2人をあったかいお湯で洗ってくれたんだ。


 ボッチプレイヤーの冒険が完結したら、この作品は別の場所に投稿を開始します。
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